ひとり
(ライト/ダーク)視点主はライト


僕たちの関係って何なんだろう?
仲間なんかじゃない。友達だなんて反吐が出る。
敵?・・・今並べた中じゃ、一番しっくりくるな。
変なの。

一緒に行動しているのに、敵だなんて。





「こんな力を持ってるのに拳で殴り合ってるとか・・・もうね、何?お前馬鹿だろ」
「テメェもな」

この馬鹿な闇の精霊――ダーク――は僕が力を使わなければ、自分も使わない。
僕の力は、消し去ることしか出来ない。本当に相手を殺したい時向けだ。
とてもではないが、喧嘩には使えない。

力を使えば当然、僕の方が強いけど。純粋に腕力だけなら負けるらしい。
うわーむかつく。知りたくなかった。
腕輪じゃなくって、指輪つけようかな。殴ったとき、相手が痛いように。
腕輪ってあんま意味ないよね。

「いいよなぁ、テメェは。化け物だからすぐに治って」
「何?帰魔でもかけて欲しいの?そんなに止めが欲しいんだ??・・・冗談だよ」

光の帰魔は闇属性のダークにとっては、本来の回復の為の精霊魔ではなくなってしまう。
勿論、それもわかってて言ってるけど・・・そんなに睨むことか?冗談の通じない奴だな。

「オレはテメェが死ぬまでは死なねぇ。死ぬなら、テメェが死んでからだ」

笑っちゃうぐらい妙な責任感。
お前は僕と違って死ねるんだから。そんなに生きてるのが嫌なら、さっさと死んじゃえばいいのに。そっちの方が僕もすっきりするしさ?

「テメェの止めはオレがさしてやるよ。最っ高に苦しい方法で殺してやる」
「わぁいらなーい。その前に僕が死ねる方法とやらが今のところ一つもないんだけど?やっぱお前、馬鹿だろ」

僕以外にはなんだかんだで優しい癖に。
何で僕には平気でこういう台詞ばっかり吐くかなぁ?
僕には心がない、とでも本気で思い込んでいるんだろうかこの馬鹿は。


「・・・テメェ。自分は治せるだろ。治せよ」
「放置でいいよ。めんどうだし。僕は化け物だから」

実際めんどうだった。
クソ長い詠唱をしなければ僕の力は、全て消滅として具象されるからだ。
そして僕の力は、否定しようもないほどに、化け物だった。

山一つ消したこともある。
多分、大地も海も、この星自体ですら僕にはいとも簡単に消せるんだろう。

僕が嫌になれば、終わる世界。あぁなんて脆くて・・・つまらない。
僕を創った大樹が何を考えているのか、理解不能だ。
全てを消滅させたいとでも思っていたんだろうか?
一時の感情だけで世界を壊してしまう。
そんな存在を創るメリットは、果たしてどこにあったのだろう。

そんな僕でも宿主がいない状態でこの星に留まるのは苦しかった。笑ってしまう。
恐らくまだ見つからない僕を殺す方法の一つに、宿主(オルガ)を殺すというのが考えられるんだろう。 そんなことはさせないけど。


「・・・何拗ねてんだ」
ダークが何か馬鹿なことを言っているが聞こえないふりをして、その場を去った。



同じだと思っていた。出会う前は。
やっと、同じ存在に出会えるのだと。
でも出会ってみれば違った。同じ精霊。なのに。

頭を吹っ飛ばされようと
心臓を抉られようと
どれだけの血を流そうと、死なない。

化け物は、
僕だけだった。





オルガ。
同じである必要なんてないと、お前はいつも言っていた。
でも

僕と同じ存在は、
この世界のどこにも。
いないんだ。



これもほぼ2010年に書いたものです。少しだけ加筆修正。
同時期に書いているのが、この二人の話が多い…。
(up:2013年)


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